■毎日の睡眠時間が6時間以下の方は生活の見直しを!

睡眠不足が続いても、日中に眠気が強くなったり、ちょっと疲れがたまるだけ、と思ってはいませんか? 睡眠不足や睡眠障害は、私たちが思っている以上に心身にさまざまな悪影響を及ぼします。毎日の睡眠が6時間未満という人は、健康にはっきりと影響が出てしまう前に睡眠を見直すことをオススメします!

 

下記の表は国立精神神経センターの白川修一郎先生が発表された「睡眠不足や睡眠障害の健康への影響」について。まず、この表をじっくりと読んでみてください。睡眠不足がいかに心身に悪影響を及ぼすかがわかるはず。

 

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 ■睡眠不足・睡眠障害が及ぼす健康への影響

●脳機能の低下

・集中力低下
・注意維持障害(事故の発生率アップ)
・記憶・学習障害
・感情抑制機能低下
・認知・判断機能の低下
・創造性・論理的思考力の低下
・意欲の低下
・自己評価の低下
・精神性ストレスの蓄積

循環器機能低下

・血圧上昇
・虚血性心疾患リスク増大

 

免疫機能低下

・ガン発症リスク増大
・感染リスク増大
・アレルギー性疾患の発症リスク増大

 

脂質代謝機能異常
・肥満

 

アルツハイマー型認知症発症リスク増大

 

脳血管認知症発症リスク増大
(不眠患者・閉塞型無呼吸患者)

 

(Shirakawa、2006)

 ■睡眠不足で残業増加!?
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集中力低下、記憶・学習障害は文字通りですが、注意維持障害は、運転時の注意ミスなどが増え、事故発生率が高まること、また、事務仕事のうっかりミスなども増える可能性を示唆しています。

 

感情抑制機能低下は、感情がコントロールできにくくなることで、いわゆるキレやすくなったり、気分が不安定になりやすいことを示しています。

 

 

このように、睡眠不足や睡眠障害は脳機能に大きく影響しますが、実は、仕事の質の低下や残業時間が増えることも考えられます。

 

疲れがたまると、PCの前にいても頭がボーっとしたり、考えがまとまらず仕事がはかどらないという経験は多くの人にあると思いますが、まさにそのとき、脳はヒートアップして、集中力低下、認知・判断機能の低下、創造性・論理的思考力の低下が起きています。そういうときには意欲も低下しやすいため、やりたくない。早く帰りたい。でもうまくまとまらないというジレンマに陥り、ストレスも倍増。結局、いい加減で間違いだらけの内容を提出してしまうか、ダラダラと時間ばかりが過ぎてしまうということになりやすいのです。

 

白川先生のお話では、必要な睡眠時間より2時間足りない状態が続いていると、なんと、血中アルコール濃度0.05%のほろ酔い状態と同程度まで作業効率は落ちてしまうそう。

 

脳機能以外の具体的な弊害については今後の記事で改めてご紹介していきますが、能率的に仕事をこなすに??は、きちんと睡眠をとることが大切なのです。

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どうしても今日中に終わらせないといけない仕事があるのに、頭がボーっとしてはかどらないという場合は、少しだけ仮眠を。寝すぎると眠りが深くなり、頭がクリアになるのに時間がかかってしまうので、30分以内にすませるのがポイントです。

 

完全に横になるのではなく、リラックスチェアで座ったまま仮眠するか、机に伏せるのが眠りを深くしないのでオススメ。30分では眠りにつけないという人も、目をつむって刺激を極力シャットアウトし、頭をクールダウンするだけでも効果があります。逆に目が覚めにくいという人は、仮眠の前にコーヒーなどのカフェインをとっておくと、30分くらいで効いてくるため、目覚めが促され、気分がリフレッシュします。

 

この記事を書いた人
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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
Written by

睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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