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旅と思い出のストーリー『針がとぶ』

 

今日のカフェボンボンは、『針がとぶ』

少しずつ重なり合うショートストーリーが7つ。『つむじ風食堂の夜』の作者・吉田篤弘による短篇集です。

BONBON329

針がとぶ、月と6月の観覧車、少しだけ海の見えるところ。素敵なタイトルの物語は、柔らかい毛糸の結び目のようにつながっている。

最初のストーリー「針がとぶ」では、主人公の「わたし」が伯母の遺品にLPレコードを見つける。レコードを繰り返し聴くうち、B面の最後の曲の針が飛ぶことに気づく。

一カ所だけ、ほんの一瞬。“そこに、わたしの聴くことのできない音楽があった。”

ほんとにそう。“聴くことのてきない音楽”に似たものが、日々の暮らしの中にはたくさんあるんだと思う。その一瞬の静寂に気づけたら、きっと何かが違って見える。

7つのストーリーの「朝時間」は、幸運のアイスクリーム。旅先の食堂のデザートに入っていたのは、幸運の印の深紅の粒だった。

静かな余韻を残す旅と記憶の物語を一年の始まりに。

以前ご紹介したこちらもどうぞ。
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』
『おかしな本棚』


20150103

針がとぶ Goodbye Porkpie Hat
著者:吉田篤弘
出版社:中央公論新社

Love, まっこリ〜ナ

 

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朝読書のすすめ『まっこリ~ナのCafe BonBon』

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小説から絵本まで、編集者が選ぶ”朝読書”におすすめの1冊
Written by

まっこリ〜ナ

編集者・ライター

出版社勤務を経てフリーランスに。図鑑や写真集、子どもの本や雑誌などの編集に携わる。本がくれる愛のチカラを糧に生きる日々。いちばん好きな本の主人公は長くつ下のピッピ。
趣味は草花園芸、編み物、ランニング、スポーツ観戦。

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