朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『運命の絵 なぜ、ままならない』。
以前カフェボンボンでご紹介した本が文庫化されました。絵画エッセイが大人気の中野京子が「運命」をテーマに書いたシリーズの一冊です。名画を鮮やかに読み解き、芸術の世界へと案内します。
『運命の絵 なぜ、ままならない』
著者:中野京子
出版社:文藝春秋
絵のキーワードは「なぜ、ままならない」。運命に翻弄される人たちの絶望的な心の叫びが聞こえてきそうな絵ばかり。ままならない名画の選び方が絶妙です。
ダヴィッドの傑作『マラーの死』では、マラーがうかつにも暗殺者を招き入れた瞬間こそがままならない。マラーを死にいたらしめた若い女の暗殺者の運命にも焦点が当てられています。ドガが描いた『ベレッリ家の肖像』から浮かび上がるのは不幸な家族のままならなさ、冷ややかさ。著者はこのドガの絵のもつ「居心地の悪さ」に注目し、登場人物が不幸であったとはっきりと伝わってくることが「ドガの技量の凄さだ」と感嘆します。
本書では、31点の絵画をオールカラーで紹介。運命の絵に描かれたドラマチックな物語を、画家の人生や時代背景を重ね合わせながら解説しています。画家や描かれた人物へ向ける著者の目は容赦なく、読み解くというよりはむき出しにするという感じが強いかもしれません。
これほどまでに劇的な瞬間はないと思えるほど、ドラマチックなシーンが描かれた名画に魅了される一冊です。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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