今回は睡眠障害の2回目として、忙しい現代人に起こりやすい概日リズム睡眠障害を中心にご紹介致します。6~8時間程度眠れていれば眠りは健康だと思いがちですが、実はいかに“規則正しく眠るか”がとても大切なのです!

※私ってもしかして睡眠障害!?<前編>はこちらから。

眠る時間が生活時間とずれてしまう、睡眠相後退症候群とは?


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私たちの体には、体内時計が備わっていて、それが睡眠覚醒リズムや体温のリズムといった1日のリズム(概日リズム)をつくり出す基となっています。
ですが、不規則な生活を続けている(好きな時間に起きたり、眠ったりしている)と概日リズムがうまく働かなくなり、眠るべき時間に眠れない、起きるべき時間に起きられないといった状態に陥ってしまうことがあります。それが概日リズム睡眠障害のひとつに分類される“睡眠相後退症候群”です。

“睡眠相後退症候群”とは、簡単にいうと、夜更かし‐朝寝坊状態のこと。
人の体内時計は元々24時間より長いのが一般的なので誰にでも起こりうることですが、中にはそれがひどくなることがあり、睡眠相後退症候群と診断されることがあります。現代は24時間開いているお店が多いですし、受験前の高校生や大学生などを含め、若い世代は安易に夜更かしをしがち。

また、社会人になっても交代勤務があったり、忙しさから何日も深夜まで働きづめという人も少なくありません。そんな生活を続けていると、体の中にある時計機構(体の中にはいろいろな時計機構があり、お互いに影響し合っています)が同調しなくなり、まるでひどい時差ボケのような状態になり、日常生活に支障をきたしてしまうことがあります。

例えば、目覚まし時計を何個かけても起きられず、すっかり遅刻の常習犯の人。また、日中は眠気が強く、疲れがとれないにも関わらず、夜はなかなか寝付けず、眠れるのはいつも明け方といった状態の人は要注意です!

本来、体温は日中は高くなり、夜になると下がります。また、睡眠覚醒のリズムは日中はしっかり覚醒して夜は徐々に眠くなるというリズムで動いていますが、海外旅行に行くと、寝起きする時間が一気に変わります。だけど体温リズムはすぐには変わらないので、今まで通り日本時間のリズムで動きます。

すると、体の中のリズムがバラバラになってしまうことから、眠りの状態が悪くなり、食欲低下、頭痛、倦怠感などが出ることがあります。それがいわゆる時差ボケの正体ですが、睡眠相後退症候群もそれと似たような状態になってしまうことがあります。

同じ概日リズム睡眠障害でも年配の人に多いのが、“睡眠相前進症候群”。睡眠相後退症候群とは逆で、眠る時間、起きる時間が極端に早くなってしまう症状のこと。
これらの治療には薬物療法だけでなく、生活時間のコントロール(規則正しい生活を心がけ、寝起きする時間を少しずつ調整するなど)や高照度光療法(強い光を浴びて体内時計を調整する治療)などが有効だと言われています。

 

進行すると怖い! 睡眠中に問題行動を起こす、“レム睡眠関連行動障害”


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“レム睡眠関連行動障害”は眠れない病気ではないのですが、睡眠中に異常な行動が見られる睡眠障害のことです。
レム(Rapid Eye Movementの頭文字を取り、REMと呼ばれる)睡眠時は、その名の由来通り眼球が左右に素早く動く様子が見られますが、眼球以外の筋肉は弛緩します。レム睡眠時は夢を見ることが多いのですが、この働きがあるため体は夢と一緒に動く心配はありません。

しかし、レム睡眠関連行動障害の人は、夢体験と一致した行動が起き、笑う、しゃべる、叫ぶといった他に、実際に起き上がって歩く、壁を蹴る、パートナーを殴るといった、とても激しい異常な行動を起こすことがあります。本人を覚醒させれば症状は治まりますが、症状が激しい場合はやはり治療が必要になります(ちょっとした寝言は問題なしですよ!)。

 

今のうちから対策を!更年期以降は眠りにくくなる


「女性ホルモンと睡眠の関係」でもご紹介しているように、女性の眠りは女性ホルモンや体温のリズムに大きく影響されます。
そのため、生理周期や女性ホルモン量が劇的に変化する妊娠・出産前後、また女性ホルモンが減少する更年期以降も眠りの状態が悪くなることがあります。
例えば、生理周期の高温期(黄体期)は、眠たいのに体温が高くなっているため、なかなか寝付けないといった状態になることが。また、更年期はホルモンバランスの乱れから自律神経が乱れ、それによって眠りにくくなる(冷えなども起こりやすくなるが、それも眠りの妨げになる)ことがあります。

睡眠の状態が悪くなると、概日リズムの働きを低下させ、それが女性ホルモンのリズムに影響を与えうるので、健康な体を維持するためには、規則正しい生活を意識して実践するなど、女性は男性以上に眠りに気をつけることが必要です。忙しいと平日の睡眠不足を補うため、つい週末にたくさん寝てしまいがちですが、それは体内時計を狂わせる大きな原因になります。平日、週末に関わらず、同じような生活が送れるよう平日の睡眠に配慮することが大切です。
また、睡眠も女性ホルモンもストレスが強くなるとやはり悪くなるので、何かと忙しい現代女性は、ストレスマネージメントに気をつけることも必要だといえるでしょう。

 

 

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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
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睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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