おはようございます。好印象マナー講師の林慶子です。
ひとつのテーマを1週間意識して過ごすことで、マナーや心遣いが自然と身に付く!そんな連載コラムを毎週火曜日にお届けしています。
【今週のテーマ】玄関先で気をつけたい「靴の脱ぎ方・揃え方」
「靴を脱いだら、そろえましょう」
小さい頃、こう言われていましたか?
高温多湿の日本にあるのが、「靴を脱ぐときのマナー」。
家は神聖な場所であるため、汚れたものを持ち込まないように履物を脱ぐ、という説があります。
また、昔、礼節を重んじる「茶室」では、武士であろうと刀を持たず、靴も脱がなければならなかったそう。もし急に敵が襲ってきてもすぐに履物をはけるよう、つま先を外、かかとを家の中に向けて履物を置く礼法が生まれたそうです。
この、昔から重んじられている、履物を揃えるという行為。もしかして、履物を脱ぐ・揃えるの動作を、一度でやっていませんか?
玄関を入ったら、靴を脱ぐ時にくるっと後ろを向いて、履物を脱ぎながら揃えると…たしかに、一度で済みます。
でも、これはスマートな所作とはいえません。
脱ぐ・揃えるの動作をきちんと分けて行うことで、美しさが格段にアップしますよ!
いざというときにスマートに、自然にきれいな脱ぎ方・揃え方ができるよう、この1週間、意識して行ってみてください。
【1】玄関から上がる時は正面を向いたまま
玄関から室内に上がるときは、後ろを向かず、正面を向いたままで靴を脱ぎましょう。
「家主にお尻を向けない」と覚えておくと、迷わないですね。
【2】少しななめを向いて、膝をつく
室内に上がったら、同じく家主にお尻を向けないよう意識しながら、少し斜めになって靴の方に向かって、膝をつきます。
【3】靴のつま先を外側に向け、玄関の「下座」に置く
脱いだ靴を片手で持ち、つま先が外(玄関ドアの方向)に向くように回します。
置く場所は、玄関の真ん中ではなく、「下座(しもざ)」が正解◎
履物を揃えることの意味とは
玄関で履物(靴)を脱いで家に上がることは、ひとつの区切りの場面でもあります。つまり、靴を揃えるということは、気持ちを整えて、ひとつのシーンを終える、ということに繋がります。
家に上がる前までのシーンをいかに丁寧に終えられるか。そこに心の状態が表れます。さらに、次に出かける時(新しいシーンが始まる時)、揃った履物を履いて出かけることで、気持ちの良いスタートを切ることができます。
「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」という禅宗のことばがありますが、これは、自分の足元をよく見よ、という意味から「履物を揃えましょう」という意味でも使われます。
他人や外にばかり意識を向けずに、立ち止まって自分の足元をよく見る。
足元(こころ)は乱れていないか。
他の人の履物を揃える心の余裕はあるか。
「履物をそろえる」何気ない行動には、こんなに深い教えがあります。
「揃える」という漢字は「てへん」に「前」と書きます。靴は脱ぎながら足で揃えずに「手を前に出して揃える」ことを意識してください。
屈伸運動はキツイですが、この一週間は、自分の家の玄関でも、丁寧な脱ぎ方、揃え方を意識してみてくださいね!
Have a ごきげんday!
☆この連載は<毎週火曜日>更新です。来週もどうぞお楽しみに!