朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『震雷の人』。
武勇に優れた兄妹、張永と采春が活躍する物語。中国・唐の時代を舞台に、運命に翻弄されつつ懸命に生きる者たちを描いた大河小説です。第27回松本清張賞受賞作、新刊です。
『震雷の人』
著者:千葉ともこ
出版社:文藝春秋
物語の幕開けは、張永の妹・采春と許嫁の季明がまもなく夫婦になる日。明日は結納という時に、突然、敵が攻め込んでくる。幸せを夢見るのもつかの間、兄妹は武器を取り馬に飛び乗っていく。
「書の力で世を動かしたい」という季明の志をテーマにし、乱世を生きる人々をその背景とともに鮮やかに描き切った本書。刻々と変わる戦況をドラマティックに、運命に翻弄される者の心情を細やかに描いています。
なかでも、許嫁の季明を殺され復讐を誓う采春は、物語のなかで躍動し、ひときわ輝いているように思えます。「国の命運など構うものか。己一人で何ができるか、だ」——。そんな決意を胸に秘めた采春が、戦場を駆け抜けていくシーンは圧巻。一方で、許嫁への想いに揺れる可憐さものぞかせる。花のように美しい采春に魅了されます。仇討ちの旅で出会った女性、福娘と采春が心を通わせるシーンは、読後もずっと心に残ります。
華のある時代小説の作者・千葉ともこさんは、公務員の仕事と子育てを両立させつつ小説を書いているそうです。本書は著者のデビュー作。次作はどんな人物が活躍するのでしょうか。待ち遠しいです。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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