vol.34 寝る子は育つ?! 子どもの成長に睡眠は不可欠 (2)

 

日本の成人の多くが慢性的ともいえる睡眠不足状態になっていることが問題になっていますが、それに引きずられるように子どもたちの睡眠状態も悪くなっています。発達段階にある子どもには大人よりも多くの睡眠が必要です。お子さんをお持ちの方、これからパパママになる方、保育者の方、ぜひ子どもたちに適切な睡眠習慣を身につけさせてあげてください。

 

子どもの睡眠はしつけが必要!年齢に応じた睡眠時間の確保を。

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0歳~1歳
生まれて間もない赤ちゃんは、3~4時間眠っては起きておっぱいを飲み、再び眠るという昼夜区別のない生活を送ります。そのため、パパもママも睡眠不足なりがちですが、3~4か月くらいから徐々に昼間起きている時間が増え、夜まとまって眠るようになります。

そして、6カ月くらいには成人に近い1日のリズムが確立します(ただ、この時期にはまだ2~3回の長めの昼寝が必要で、1日トータルで12~14時間程度の睡眠が必要)。

しかし、そのリズムを確立させるためには、保護者の方のサポートが不可欠です。昼夜関係なく寝起きしている赤ちゃんですが、脳は日々学習していくので、朝昼は明るく、夜は暗い環境を作りましょう。

保護者の方が朝同じ時間に起きて朝環境を作り(8時くらいまでには赤ちゃんが目覚めるようにサポート)、日中はたくさん話しかけたり(保護者などとの接触が覚醒度をあげるカギになります)、なるべく同じ時間に昼寝・食事を与える環境をつくるなど、1日のリズムを感じさせてあげること。

朝なのにいつまでも暗い部屋で寝かせておいたり、逆に夜遅くまで明かりをつけたまま騒ぐなどはしないこと。夜は暗めの静かな環境を作り、できれば午後8時には眠れる環境を作ってあげましょう。

1~3歳
朝起きたら決まった時間に起こして太陽の光を浴びさせ、覚醒を促します。外に出られるようになったら、朝昼は外に出て日の光を浴びさせ、体を動かして汗をかかせ、活動的に過ごさせましょう。睡眠は昼寝を含みやはり12~14時間程度必要ですが、起床時刻・就寝時刻はなるべく同じにし、昼寝はできるだけ決まった時間にとらせます。

ただ、年齢を経るに従って昼寝の回数も減り、時間も短くなっていき、夜の睡眠が長くなっていきます。1日のリズムを崩さないためには、できれば昼寝は午後3時までに済ませ、夜は9時までに寝かせること。規則的な生活習慣や食事習慣を身につけさせ、リズムを確立しましょう。

また、私たちの時計は、後ろにズレやすいので、休日でも朝は同じ時間に起こし、夜ふかしはさせないようにしましょう。ただ、夜眠れないのを叱るのは禁物。眠れないのには理由があります。叱る前にその日の日中の過ごし方や子どもの精神状態、生活環境を見直してみましょう。

4~5歳
5歳前後で前頭葉の神経ネットワークの密度がピークを迎えます。つまり、知能の発達に重要な時期なので、この時期も11~13時間はたっぷり寝かせてあげましょう。
夜なかなか寝ない子は、起床時刻と昼寝時間の見直しが必要です。昼寝時間を短くするか、昼寝をナシにしてみましょう。

また夜は興奮させないように気をつけ、暗く静かな環境に。夜はつまらない(日中十分に活動した満足感と疲れで自然に力が抜けるような生活をし、保護者は子どもがリラックスし、安心できる環境をつくる)けど、朝は楽しいという気分になるよう、生活に工夫をしましょう。夜遅く帰ってくるパパと遊ぶのが習慣になり、子どもが夜更かしになってしまったという報告を聞くことがありますが、そうならないよう、くれぐれも注意を。

小学校低学年
10歳前後で後頭部の脳波は大人と似たものとなりますが、前頭葉はまだ未熟。そのため、10~11時間の睡眠が必要です。朝8時には学校へ行くと仮定すると、起床は7時、就寝時間は9時ということになります。

毎日2時間程度の睡眠不足でも、日中の眠気を生み、脳はほろ酔い状態と同じになって、学習効果を3分の1程度まで下げてしまうという報告があるので、睡眠不足には十分注意しましょう。精神面にも影響が出やすくなるので、規則正しい生活習慣を基本に、十分な睡眠を。そして、朝はしっかり太陽の光を浴びて体内時計を整え、楽しい雰囲気で朝食を。

そんな生活を心がければ、明るい雰囲気で元気に学校へ行ってくれるはず!

小学校高学年~中学生
まだまだ成長過程。最低でも8時間以上の睡眠が必要です。睡眠不足、朝食欠食の生徒は学業成績が低いという報告があります。その原因の多くが、夜更かしです。

実際、夜10時までに寝る子どもの数は年々減っているという報告があり、問題となっています。睡眠不足は思春期の微妙な心の状態をより不安定にし、性の成熟を早めてしまう危険(*)もあり、子どもたちをアンバランスな状態に陥らせてしまう可能性もあるので注意しましょう。

*メラトニンは眠りを安定させるホルモンで、朝の光で分泌が止まり、夜暗くなると分泌され、朝は目覚めを促し、夜は眠りを安定させます。しかし、生活リズムが不安定だったり、夜遅くなっても明るい環境にいると分泌されにくくなり、眠りの質が低下してしまいます。また、性の成熟を早めてしまう働きもあると言われています。

眠ることはあたり前と思いがちですが、実は重要なしつけの一つです。

ただし、ガミガミ怒るのではなく、大人が体内時計のリズムを理解し、夜は子どもがゆったりと安心して眠れる環境を与え、朝は明るく意欲的に過ごせるようにサポートしてあげることが大切です。

朝、気持ちよく起きることは、毎日を健康的に過ごすカギになりますし、子どもが自分で床に入る、自分で起きるという行為は自立の第一歩にもなるので、しっかりサポートしてあげましょう!

 

 

この記事を書いた人
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ぐっすり睡眠&スッキリお目覚めのツボ[連載終了・全70回]

睡眠改善インストラクターによる快眠&めざめのヒント[連載終了・全70回]
Written by

睡眠改善シニアインストラクター 竹内由美

日本睡眠改善協議会認定・睡眠改善シニアインストラクター。日本産業カウンセラー協会認定・産業カウンセラー。
米国Mary Baldwin College心理学科卒業。フリーの編集ライターとして美容や健康などに関する記事に携わり、その経験から睡眠やメンタルヘルスの重要性に気付き、上記の資格を取得。忙しい現代人にこそ良質な睡眠が大切だと、雑誌や講演活動などを通して睡眠について伝えている。
著書には「眠りダイエット」(文芸社)がある。

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