スペシャルティコーヒー専門店「Scrop COFFEE ROASTERS」のバリスタ西崎勇輝さんによる連載「バリスタ直伝!コーヒーをもっとおいしく楽しむヒント♪」では、毎月1回コーヒーをもっと気軽においしく楽しむヒントをお届けします♪
おはようございます!「Scrop COFFEE ROASTERS」のバリスタ西崎勇輝です。
コーヒーをもっとおいしく楽しむためのヒントを紹介する本連載。4回目となる今回のテーマは、ベーカリーカフェがおすすめする「パン×コーヒー」のペアリング。
ワインからひもとく「コーヒー」に合うパン選び
「ペアリング」と聞いてぱっと思い浮かぶのは、「肉×赤ワイン」、「魚×白ワイン」など、ワインと食事の組み合わせではないでしょうか?
赤ワインは皮や種と一緒に果汁を絞ることから、ぶどうの風味をダイレクトに感じるものが多く、肉類の強い味や旨み、油分と相性が良いと言われています。一方で白ワインは皮や種を除いてからぶどうの果汁を絞る為、すっきりとした味わいに仕上がります。魚介類の柔らかい味を邪魔することなく、お互いを引き立ててくれますよね。
実はコーヒー豆にもワイン同様に様々な作り方があり、同じ豆でも精製処理の方法によって味の印象は大きく変わります。その中で主に代表的な2つの精製処理(※)を説明します。(※スペシャルティコーヒーショップには必ず精製処理が明記されているので、チェックしてみてください。見方がわからないときはお店の人に質問してみてくださいね)
- ナチュラル:コーヒーチェリーの状態で乾燥させ、その後に種(コーヒー豆)を取り出す方法。このタイプのコーヒー豆は、甘さや風味が強い傾向。
- ウォッシュト:皮や実を取り除いてから種(コーヒー豆)を乾燥させる方法。クリアな飲み口で柔らかい香り。
これを読むと、赤ワインとナチュラル、白ワインとウォッシュトが少し似た印象に感じませんか?
では次に、ワインの場合の肉と魚を、パンに置き換えて考えてみましょう。
肉類をイメージするパンと言えば、ハムやベーコン、ローストビーフなどのサンドウィッチ。ソーセージを使ったパン。魚類はなかなか難しいですが、「柔らかい味のもの」と捉えればいろいろとありそうですね。例えば野菜サンドやトースト、スコーンにクロワッサンなど…。
つまり
「肉類のパン&サンドウィッチ×ナチュラル精製のコーヒー」
「食パンやクロワッサン×ウォッシュト精製のコーヒー」
のペアリングが好相性と考えられます。
フレーバーに合わせてパンやスイーツを楽しもう
次は、コーヒーの味や香りなどフレーバーに合わせてパンやスイーツを選ぶときのコツについて。
コーヒーのフレーバーを表す単語は実に様々ですが、今回は ”インドネシアのスマトラ” と ”エチオピアのシダモシャキッソ” から、それぞれのフレーバーにあったパンやスイーツをご紹介します。
【1】インドネシア スマトラのフレーバー
マンダリンオレンジ、ハーブ、エスニック、アーシー。柑橘系の程よい甘さと酸味、複雑なスパイスを思わせる香りを楽しめる豆です。
フルーツっぽさがありながらもスパイスの風味を感じるキャロットケーキやカレーパンなど好相性。アジアンテイストならバインミーなどもおすすめ。
【2】エチオピア シダモシャキッソのフレーバー
ストロベリー、グレープ、レッドワイン、チョコレート。赤い果実のような甘い香りとはっきりとしたフルーツ感。チョコレートのような香ばしさと甘さもあります。
デニッシュショコラ、フルーツサンドやフルーツケーキがぴったりのコーヒー豆です。和風ならいちご大福なんかもおすすめ。
カフェやパティスリーでコーヒー×パン・スイーツのペアリングに悩んだときは、お店の方におすすめを尋ねてみるのも◎ 意外な美味しい組み合わせを教えてくれるかもしれませんよ。
私がバリスタとして働くScrop COFFEE ROASTERSは自家焙煎のコーヒーショップであると同時に、一部の店舗ではベーカリーカフェとしても営業しています。
パン生地は粉の配合から焼き上がりまで、全てをお店で仕上げるオールスクラッチ。粉の特徴や気温・湿度といった条件を加味しながら、日々手作業で丁寧に仕上げています。
コーヒーの焙煎や抽出と同じように、職人が手間暇をかけて作り上げるからこそ、素材の良さをより深く知る事ができます。お店に並ぶベーカリー類も自然と「コーヒー×パン」のペアリングを意識したものが出来上がります。是非一度足を運んでみてくださいね。
今月のおすすめは「ペルー カップ・オブ・エクセレンス モラレス農園」
最後に、今月おすすめしたいコーヒー豆を紹介します。
近年良質なスペシャルティコーヒーを多数生み出しているペルー。その中でもこのモラレス農園のコーヒー豆はアーモンドのような香り、後味には杏仁豆腐を思わせる甘さを特徴としています。
トーストした食パンとの相性も良く、小麦とコーヒーの香りをどちらも楽しむことができます。また、中深煎りに仕上げているので味のはっきりとしたサンドウィッチ等と合わせてもコーヒー感を感じる事が出来ますよ。
さて、今回のコラムはいかがでしたでしょうか?今月もみなさんのモーニングコーヒーが、より上質なものとなりますように。それではまた次回お会いしましょう。
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