朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『ファースト クラッシュ』を。
初恋=ファースト クラッシュ。それは身も心も砕いてしまう、強い欲望を秘めたものだという。作家・山田詠美が初恋をテーマに描く恋愛小説をどうぞ。
『ファースト クラッシュ』
著者:山田詠美
出版社:文藝春秋
初恋の記憶が強烈によみがえってきた。ドキドキする。落ち着かない。私はあのとき砕かれたんだと今になって思う。身も心も叩き壊されそうな恋。はじめての恋をモチーフに、恋愛小説の名手がクラッシュの記憶を呼び起こさせる。
物語の語り手は、かつて裕福な家庭のお屋敷に暮らし、四十代になった三姉妹。「初恋」にまつわる過去をそれぞれの視点で赤裸々に語ります。三人の初恋の相手は同じ一人の少年、父親の愛人の子供・力(リキ)でした。同じ屋敷で暮らしはじめたリキに魅了されつつ、陰で残酷な仕打ちをする三姉妹。彼女たちはやがて、誰にもなびかない大人びた少年の虜になっていく。
三姉妹にとって、初恋は「ファースト ラヴ」よりもっと強烈な欲望、リキ自身が「ファースト クラッシュ」そのものでした。リキ、リッキ、リキくん。少年の名前の呼び方が三姉妹それぞれ違うのも官能的です。
三姉妹のひとりは自分が遭遇してきたいくつもの恋のクラッシュを愛おしむ。たくさんのクラッシュのきらめきを心に秘めていれば、どんなつらいことがあっても生きていけると感じられるのかもしれません。愛が足りないと思うとき、心がひりつくときにオススメの一冊です。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
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