朝読書におすすめの本をご紹介する『まっこリ~ナのCafe BonBon』。小説やエッセイ、暮らしや料理の本など心に効く本をセレクトしています。
今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『わくらば日記』。
不思議な能力をもつ美しい姉とお転婆な妹をめぐる物語。昭和三十年代前半、東京の下町を舞台に、作家・朱川湊人が当時の暮らしをていねいに描き出します。
『わくらば日記』
著者:朱川湊人
出版社:KADOKAWA
「今は追憶の世界に住む人だというのを抜きにしても、姉さまは本当に美しい人でした」大好きだった姉さま・鈴音の思い出を語るのは妹の和歌子。遠い昔、姉さまと過ごした懐かしい記憶がいまも和歌子の胸にきらめいています。
姉さまは人や物の「記憶」を読み取ることができました。人間を見れば、その人が昨夜見たお月さまを見ることができる。通りを見れば、そこを通った牛乳屋さんの姿が見える。姉さまはその特別な能力を見込まれて、ある難事件の捜査に協力することになるのです。病弱で繊細な姉さまが力を尽くし、事件を解決へと導いていくのです。
犯人を突き止めるだけにとどまらず、悲しい真相にも迫ります。姉さまの特別な能力にまつわる出来事はどれもせつないけれど、おどろおどろしい事件に巻き込まれながらも、優しい心を片時も失わない姉さまが本当に素敵です。
情感たっぷりに描かれる昭和の時代、日々のつつましい暮らしに魅かれます。例えば、昭和三十三年の夏、針仕事をする母さまと姉さま、響き渡る蝉の声、空には入道雲——。
夏休み、縁側で読みたい一冊です。
ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ
「まっこリ~ナのカフェボンボン」を読んでくださってありがとうございます。「カフェボンボン」が心ときめく本との出会いの場となりますように。
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