先生/関東裕美(東邦大学医療センター大森病院 教授)
—-花粉症有病率は年々増加し、4人にひとりが花粉症とも言われています。季節の変わり目は体調だけでなく肌の調子も悪くなりがちですが、それは花粉の影響によるものなのでしょうか。まずは、なぜこの時期は肌がゆらぐのか、肌トラブル治療のエキスパート、関東裕美先生に伺いました。
バリア機能を低下させるダブル洗顔は30歳までがベター
三寒四温という言葉のとおり、冬から春へと向かうこの時期は寒さが戻ったり、暖かくなったり、気温が不安定になりますよね。ゆらぎ肌というのは、季節の変わり目に起こる気温や環境の変化に伴い、肌が一時的に敏感になっている状態のこと。乾燥した冬の外気によって肌のバリア機能が低下しているところに、紫外線や花粉などの外的刺激と、異動や引越しといった環境の変化によるストレスが加わることで、肌が赤くなったり、かゆくなったり、ニキビができたりするのです。
間違ったケアも肌がゆらぐ一因です。メイクをするようになって最初に覚えたダブル洗顔を、今も続けていませんか? 加齢による肌の変化を大なり小なり実感しているにもかかわらず、肌のコンディションや季節によって洗い方を変えない人が多いようです。40代になると、秋冬から春の乾燥シーズンは特に洗顔後の皮脂回復率低下の影響か、皮膚乾燥が悪化しますので、クレンジングでメイクを落とした後、さらに洗顔フォームでゴシゴシ洗えば、当然バリア機能は低下してしまいます。
不安定な季節こそじっくり肌を観察
バリア機能を回復するためには、まずはダブル洗顔をやめて肌に負担をかけないこと。ただし、生理前は皮脂分泌量が増えるので、ニキビになりやすい人はダブル洗顔で皮脂を落とすことが、状況により必要になります。雑誌やメーカーが紹介しているスキンケア法が、必ずしも自分の肌に合うとは限らないということを忘れてはいけません。肌のコンディションは、医者やコスメカウンターのビューティーアドバイザーより、自分がいちばんよく知っているはずなんです。肌をじっくり観察して、自分にあったスキンケアをしてください。
からだを守る物質に対して、有害なものだと過剰に反応してしまうことをアレルギーというのですが、洗顔によって肌が乾燥するのも過剰な反応だと捉え、過剰な反応が出ないように日々努力すれば、大きなダメージは少なくなります。人間には生体防御反応が備わっているので、例えば花粉症なら、涙を出して花粉を外に出そうとしますが、生体防御反応だけに頼らず、点眼薬をさすと多少ラクになりますよね。ラクになる手段はたくさんあるのに、がまんして負担をかければ、免疫機能も不安定になります。抗アレルギー剤を服用するなどして、症状が重くならないようにコントロールすることは、皮膚を守るという意味でも大事。この地球に生きている限り、花粉も排気ガスもPM2.5も大気中に舞っているのですから、周囲環境に対して自分を過剰に反応させない工夫が必要なのです。
—-私たち女性は、生理周期によって1か月の中でも肌が潤ったり、カサついたり、ニキビができたりしていますよね。「日ごろから変化にフレキシブルに対応している人は、肌がきれい」という関東先生の言葉に納得。自分のからだに敏感になることが、美肌への第一歩のようです。
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関東裕美
東邦大学医療センター大森病院 スキンヘルスセンター 臨床教授。専門は、皮膚一般・接触アレルギー・パッチテスト・アトピー性皮膚炎。成人のアトピー性皮膚炎の患者を対象に、正しいスキンケアやメイクアップのアドバイス、生活指導なども行っている。
取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ
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