文/おくだじゅんこ(管理栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
「抗酸化」という言葉、最近はみなさんにはおなじみの言葉ですね。
人間は、酸素を吸って生きています。酸素は食べた食事を活動エネルギーに変換するために大活躍しているわけですが、そのとき、同じように、活性酸素も作り出しているのです。
活性酸素はウイルスや細菌を退治するという役割も果たしてくれていますが、増えすぎるとからだの酸化を促進させて、老化を早めたり、生活習慣病を促進させたり、からだをさびつかせてしまう原因ともなるものです。
しかもこの活性酸素は、多量飲酒、ストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、紫外線などでも増えるといわれています。現代人には酸化を促進させる環境がびっしり。人間のからだは日々、活性酸素の酸化攻撃との戦いなのです。
そこで、2000年代に入り、急速に研究が進んだのが、ポリフェノールなど、抗酸化作用をもつ成分について。
ポリフェノールやカロテノイドなど抗酸化成分はファイトケミカルと呼ばれ、五大栄養素、そして、食物繊維に次ぐ第7番目の栄養素として最近ではさらにクローズアップされています。
カテキン、イソフラボン、アントシアニン、どれも全部くくりとしてはポリフェノール。名前は知っていても、詳しい中身はよく知らないという人が多いと思いますが、全部、抗酸化作用が期待できるものなのです。
どんな食べ物に入っているの?
そして、このたび、特に注目したいのは、赤紫色の色素成分であるポリフェノール「アントシアニン」。
一般的にアントシアニンというと、食品はブルーベリーなどのベリー類、なすびなどを思い浮かべる人がほとんどでしょう。また、赤ワインなどを連想する人も多いでしょう。しかし、日本人は世界の国々と比べ、赤ワインやブルーベリーやラズベリーなどのベリー類をとる習慣があまりありませんでした。
では、昔は何でとっていたのでしょう…!?→「黒大豆」や「紫黒米」だったそうです。
おしゃれに赤ワインを飲まなくとも、たまに黒豆の煮物を1品加える、白米に紫黒米を1割混ぜて炊いてみるのも、立派なポリフェノール摂取につながっているのです。
特に、この黒大豆や紫黒米に含まれているアントシアニンは、調理することで、さらに抗酸化作用の強い成分に変化するそう。調理すると、栄養素が失われてしまうのでは? と心配される方が多いですが、そんな心配はご無用なのです。
また、黒大豆由来のアントシアニンを含んだ食品を動物に食べさせて実験したところ、体脂肪の蓄積抑制、脂肪肝の抑制、高血糖なども抑制したとの報告があるそう。まさに、肥満抑制効果大ですね!健康に役立つ食品成分といえそうです。
また、夏の食品には、このアントシアニンを含む食品が非常に多いです!なすびは言わずとしれた夏野菜、赤しそも6~7月が旬と言われ、この時期、赤しそジュースを作る人も多いですよね。
まさに、旬が抗酸化! 紫外線対策! 理にかなった野菜生活ですね!
夏の紫外線で増える活性酸素には、昔ながらの食品と夏が旬の食品の赤紫パワーで乗り切っていきましょう!!
文/おくだじゅんこ(管理栄養士)
広島生まれ。国立病院勤務の後、8年間にわたり株式会社ワコールに勤務。陸上選手から社員まで幅広く健康管理に携わる。2012年に再び地元広島へ戻り診療所の栄養士に。
自身が根っから食いしん坊☆自分自身の栄養管理に日々奮闘中!
イラスト/いしわたりきわこ
東京生まれ。テキスタイルデザイナーを経て、コピーライター、ライター、イラストレーターに。渾身の著書「駅弁の旅」、「ぜいたくはひとりごはん」共著に「東京ナチュラルスイーツ」、「おいしいごはんの店~自然派レストラン全国ガイド」などがある。
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