北京にある「国子監」は元・明・清時代の最高学府であり、
また、競争率3000倍ともいわれる公務員採用試験「科挙」が行われた場所でもあります。
科挙合格は名誉であると同時に、官吏になることで自然に富も転がりこんでくるため、みなその狭き門に殺到しました。
派手な門をくぐると、
かつての最高学府が姿を現します。
学生は全国各地から送り込まれた優等生。
最も優秀な生徒は、科挙に関係なく官僚として採用されたようですが、ほかの多くの学生は科挙の受験準備に明け暮れていたと言います。
またここには現在、その科挙の試験に実際に使われたという、あの手この手のカンニング道具が展示されています。
たとえば、『四書五経』の内容をびっしりと書き込んだ下着、小さく巻いた紙を隠せるように穴をあけた筆など。これらの道具を見ていると、科挙に合格したい、という人々の願いが、どんなに強いものだったのか、伝わってきます。
そしてそんなかつての学問の街は今でも落ち着いた雰囲気が漂っています。
賢者の集まるストリートより、北京の朝時間。