白や黄色の小さな野の花が咲くアラルコンの林の中を散歩していたら、
どこからともなくカランコロンと軽やかで心地のよい鈴の音。
羊飼いのおじさんが300匹の羊を連れて移動中でした。
童心にかえって羊に近付く私に、「驚いて逃げちゃうよ」と羊飼いのおじさん。
そこから束の間の立ち話が始まりました。
毎日毎日休まずに朝6時から日暮れまで羊と歩いている。
今日の夕方のサッカーの試合も見られないよ。
雨? 大丈夫。曇ってきたけれど、これなら降らない。
もう何代も何代も前から羊飼いの家族だけど、もう時代にそぐわない。
子羊1匹売っていくらだと思う?
自分の代でもう終わりかな。伝統がなくなるのは残念だね、と。
おじさんの後姿が羊とともに小さくなっていく林の中で、
遠くなる鈴の音を聞きながらいろいろ考えた朝でした。